知っておきたい顎関節症

西川洋次先生

西川 洋次 [Nishikawa Youji]
西川歯科医院 院長

入れ歯や、インプラント、被せものといったものは、所詮人間がつくったものですから、その患者さんの機能にあわせてミクロン単位までつくるというのは、絶対に不可能です。

だからこそ、基本となる「中心位」に患者さんのかみ合わせを誘導し、そこに、きちんとしたかみ合わせをつくる、という咬合学の手法が必要になるのです。ですが残念ながら、中心位に誘導し、きちんとしたかみ合わせをつくるという技術をもっている歯科医師は、全体の3%にも満たないのが現状です。

歯科医療の本来の目的は、虫歯のところだけを治療をすることではなくて、快適なかみ合わせをつくるということだと、私は信じています。

きちんとかみ合わせを調整していない詰めもの、被せもの、入れ歯、インプラントなどは、すべて生身のからだにとって害となるものです。ですが、わたしたちのからだは、その環境に、なんとか適応しようとします。その代償として、歯や顎関節がトラブルを抱えてしまうことになるのです。

「適応」の裏には「代償」があります。患者さんに「適応」してもらったのだとしたら、その歯科医師は、患者さんの歯を治したのではなくて、壊したのです。

医療に携わるかぎりは、医師が加害者になってはいけないと自らを戒めながら、咬合学の観点から、患者さんのからだに適合した治療をおこなっています。


顎関節症について

顎関節症とは、顎関節や、ものを噛むときに使う筋肉、お口の中のかみ合わせのいずれかに異常があって、顎に痛みを感じたり、口が開けづらくなったり、不快な全身症状に慢性的に悩まされたりする、とても苦しい病気です。
しかも、ご自分の頭痛・肩こり・耳鳴りをはじめとする全身症状の原因が、顎関節症・かみ合わせによるものとは知らず、対処できない苦しい症状に、精神的にも落ち込んだまま過ごしていらっしゃる方も少なくありません。

歯科医が扱う“顎関節”は、体の他の部位の関節と名称こそ類似していますが、正中線(体の真ん中)をまたぐ関節頭が前後、左右、上下に複雑な動きをおこなう特殊な関節です。
また、互いにもう一方の顎関節に影響を与える相互関係にある点も特徴的です。

顎関節症のしくみ

顎関節は、耳の穴の前方にあって、下顎頭という骨のでっぱりと、下顎窩という骨のへこみ、そして関節円板からできています。
関節円板は、帽子のように下顎頭にぶらさがっていて、顎が動くときに、骨と骨がこすれないように、クッションの役割をしています。関節円板のおかげで、顎関節はなめらかに動くことができるのです。

正常な顎関節の動き方

顎関節は、前後運動をする関節です。
口を閉じているとき、関節円板は下顎頭と下顎窩の間にあり、口を開けると、関節円板は下顎頭といっしょに前方に移動します。

関節円板に異常がある場合

口を開けると痛い、大きく口を開けられない、顎を動かすとカクンカクンという音がするという顎関節症の症状は、関節円板のズレや変形が原因となっています。

■ 関節円板の変形が大きい場合
関節円板が前方にズレていたり(前方転移)、変形が大きすぎたりすると、口を開いたときに、円板の転移によって関節空隙が狭くなり、シャリシャリといった音がしたり、下顎頭がひっかかって、痛みを伴う開口障害がおこったりします。

■関節円板の変形が小さい場合
関節円板の変形がそれほど大きくない場合は、ひっかかりがはずれて、下顎頭が関節円板の下にもぐり込むことができるので、口を大きく開けることができます。そのときにカクンカクンという音が出るのです。

顎関節症の症状

顎関節症には、顎関節周辺に痛みがある、口が大きく開かない、顎関節のあたりで音がするといった特徴的な症状があります。また、これらの症状以外に肩こり、偏頭痛をはじめとする不定愁訴が起こる場合もあります。

顎関節周辺に痛みがある

顎関節は、下顎の付け根にあります。耳の前を触って、口を開け閉めしてみてください。
関節が動いているのがわかりますか? これが顎関節です。痛みを感じているのはここと、正しく指せるようならば、顎関節症の可能性は高いと考えられます。
また、こめかみや頬のあたりが痛むこともあります。これは、顎関節周辺の、側頭筋、咬筋、胸鎖乳突筋、第二腹筋、外側翼突筋、内側翼突筋といった筋肉の痛みです。

口が大きく開かない

口を開けたときに、指を縦に3本入れることができますか? 顎関節症では、口が開きにくい、口を大きく開けられない、急に口が開かなくなったなどと感じることがあります。目安として、指3本が縦に入れば、大丈夫。痛みを伴う場合もありますが、痛みがない場合もあります。
片方の顎関節がロックされてしまった場合には、まっすぐに口を開けられなくなったり、動きが悪くなってしまったりします。

顎関節のあたりで音がする

食事をしているときや、話をしているとき、あくびや大きく口を開いたときに、顎関節のあたりでゴリゴリ、コキコキ、ミシミシといった音がすることがあります。これも、顎関節症の症状のひとつです。
音の種類により、顎関節の状況は異なります。顎関節は耳のそばにありますので、関節の音を一番感じるのは本人です。音が気になったら、顎関節の状況を検査して、まずは音の原因をはっきりさせましょう。

不定愁訴

顎関節の異常は、不定愁訴として現れることがあります。他の科を受診しても、長年原因がわからず、症状が改善されない、以下のような症状はありませんか? もしかしたら、顎関節症が原因かもしれません。 くわしくは、不定愁訴にお悩みの方へ をご覧ください。

  • 歯のかみ合わせが変だ
  • 耳鳴りがする
  • 肩こりや首のこりがひどい
  • 顎関節やその周辺が腫れている
  • 偏頭痛、めまい、吐き気など、さまざまな症状がある

“症状”と“徴候”は明らかに別のものです。たとえば、問題があるのは左の顎関節でも、それを補うために負担がかかる右の顎関節に症状が出ることがあります。受診される際は、日頃から感じられている“症状”をおきかせください。当院では、視診、問診、触診、聴診、X線診、咬合診などを総合して、“徴候”を判断いたします。 

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